スポーツが育む心と身体|健康寿命と日本スポーツの未来|かのう整形外科|東海市の整形外科

医療コラム

スポーツが育む心と身体|健康寿命と日本スポーツの未来

スポーツには、する人の身体と心を育てるだけでなく、見る人や応援する人も笑顔にする力があります。選手が限界に挑み、仲間のために力を尽くす姿は、世代や国境を越えて大きな感動を届けてくれます。

私自身、小学生から大学生までサッカーを続けてきました。サッカーを通じて学んだのは、技術や体力だけではありません。物事を突き詰める姿勢、自分の役割を果たす責任感、仲間を助ける思いやりなど、現在の自分につながる多くのことを学びました。

今回は、スポーツが健康寿命や子どもたちの成長にどのような意味を持つのか、院長として、そして一人のスポーツファンとしてお伝えします。

目次

  1. 運動は健康寿命の味方
  2. 筋力の維持とフレイル・ロコモ・介護予防
  3. 血流と「心・痛み」に働く運動の力
  4. スポーツが育てる自主性と社会性
  5. 日本サッカーの強さと可能性
  6. 心を動かされるアスリートたち
  7. スポーツの感動を愛知・名古屋から
  8. まとめ

1.運動は健康寿命の味方

健康寿命とは、単に何歳まで生きるかではなく、健康上の制限を受けずに日常生活を送れる期間のことです。自分の足で出かけ、人と交流し、好きなことを楽しめる時間を長く保つという考え方です。

運動は、筋力や持久力を維持するだけでなく、心臓や血管、睡眠、認知機能、心の健康を支えます。その意味で、運動は健康寿命を延ばすための大切な味方です。

また、運動すると身体の中ではさまざまな変化が起こります。たとえば、痛みを和らげ多幸感にも関係するエンドルフィン、気分の安定に関係するセロトニン、意欲や達成感に関係するドーパミンなどです。

運動後に「身体だけでなく気持ちもすっきりした」と感じる背景には、こうした身体と脳のさまざまな仕組みが関係しています。

激しいスポーツだけが健康につながるわけではありません。ウォーキングや軽い体操など、年齢や体力に合った活動にも十分な価値があります。誰かと比べるのではなく、自分にできることを楽しみながら続けることが大切です。

世界保健機関(WHO)は、定期的な身体活動が身体と心の健康、生活の質に良い影響をもたらすとしています。厚生労働省も、個人差を踏まえ、可能なことから始め、今より少しでも多く身体を動かすよう勧めています。

2.筋力の維持とフレイル・ロコモ・介護予防

運動によって筋力を高め、維持することは、立つ、歩く、階段を上るといった日常生活の基本動作を守ることにつながります。

加齢などによって心身の活力が低下し、健康な状態と要介護状態の中間にある状態を「フレイル」といいます。一方、「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」とは、骨、関節、筋肉などの運動器の障害により、立つ、歩くといった移動機能が低下した状態です。

筋力が落ちると外出がおっくうになり、身体を動かす機会が減り、さらに筋力が低下するという悪循環に陥りやすくなります。外出が減れば、人との会話や社会とのつながりも少なくなり、身体面だけでなく、精神面や社会面のフレイルにもつながる可能性があります。

ロコモが進行すると、将来介護が必要になるリスクも高まります。

スポーツや日常的な運動によって筋力、バランス能力、移動機能を保つことは、単なる体力づくりではありません。自分のことを自分で行い、自立した生活を長く続けるための介護予防でもあるのです。

3.血流と「心・痛み」に働く運動の力

運動すると、筋肉へ酸素や栄養を届けるために血流が増加します。この血流による刺激は、血管の内側を覆っている「血管内皮細胞」に伝わります。

刺激を受けた血管内皮細胞では、一酸化窒素(NO)など、血管を広げる働きを持つ物質の産生が促されます。それによって血管壁の筋肉が緩み、血管が広がって血液が流れやすくなります。

運動を継続することは、血管内皮の働きを良好に保ち、血管のしなやかさを維持することにつながります。運動は筋肉、骨、関節だけでなく、血管そのものにも良い刺激を与えているのです。

そして整形外科の立場から、もう一つ注目したいのが、運動が痛みや気分にも影響することです。

まずエンドルフィンです。エンドルフィンは体内でつくられる内因性オピオイドの一つで、痛みを和らげる働きに関係しています。また、多幸感などにも関係することから、「天然の鎮痛物質」と表現されることもあります。

次にセロトニンです。セロトニンは気分や情動の調節などに関わる神経伝達物質で、心の安定に重要な役割を持っています。身体を動かした後に気持ちがすっきりする背景には、セロトニンを含む複数の神経系の変化が関係していると考えられています。

そしてドーパミンです。ドーパミンは脳の報酬系や意欲、達成感などに深く関わっています。「今日はここまで歩けた」「昨日より少しできるようになった」という達成感が、次の運動への意欲につながることも、運動を継続するうえで大切です。

つまり運動には、

  • エンドルフィン:痛みを和らげ、多幸感にも関係する
  • セロトニン:気分や心の安定に関係する
  • ドーパミン:意欲や達成感に関係する

という、身体だけではないメリットもあります。

運動は単に筋肉を鍛えるだけではありません。**「痛みを和らげる」「気持ちを整える」「また身体を動かそうという意欲につなげる」**という好循環を生み出す可能性があるのです。

4.スポーツが育てる自主性と社会性

近年はスポーツ科学が進歩し、練習方法だけでなく、栄養、休養、心理面まで含めて選手を支える考え方が広がっています。指導の現場でも、選手が一方的にやらされるのではなく、自ら考え、納得して取り組む姿勢が重視されるようになりました。

自主性とは、好きなことだけをするという意味ではありません。目標を定め、自分に必要なことを考え、失敗から学びながら行動する力です。コーチには答えを一方的に与えるのではなく、選手が自分で考え、成長できる環境をつくる役割が求められます。

スポーツは、自分の役割を理解し、仲間を助け、相手を尊重することを学べる場でもあります。努力しても結果が出ない経験や、悔しさを乗り越える過程も、長い人生における大切な財産になると思います。

私自身もサッカーを通じて、**「自分のためだけではなく、チームのためにどう動き、どう振る舞うか」**を学びました。この考え方は、医師として患者さんやスタッフと向き合う現在にも生きています。

5.日本サッカーの強さと可能性

私は「ドーハの悲劇」はもちろんのこと、日本代表の試合をずっと見続けてきました。最近は忙しく、リアルタイムで観戦できないときには録画や解説動画を確認し、Jリーグでも、ひいきのチームの試合を録画やダイジェストで追っています。

今回のワールドカップでは期待した結果に届かず、非常に悔しい気持ちになりました。それでも、選手たちの献身性や最後まで諦めない姿勢には心を動かされました。

日本代表に選ばれるのは、個人技に優れた選手だけではありません。自分が目立つことよりもチームの勝利を優先し、仲間のために走り、監督やコーチの意図を理解して、自分に求められる役割を献身的に果たせる選手たちです。

現在のサッカーは、データを活用して相手や試合展開を分析する時代です。選手のアスリート化も進み、高い走力を保ちながら、戦術と自分の役割を正確に理解して動けるチームが強くなっています。

森保監督やコーチ陣を含めた組織づくり、日本人らしい規律とチームワークは、日本代表の大きな強みです。世界のトップリーグで中心選手として活躍する日本人がさらに増えれば、ワールドカップ優勝も本気で目指せる目標になると感じます。

海外サッカーでは、プレミアリーグ、ラ・リーガ、ブンデスリーガを楽しんでいます。高い技術と激しい競争の中で、選手がチームのためにどのような役割を果たすのかを見ることも、観戦の醍醐味です。

6.心を動かされるアスリートたち

NBAでは、マイケル・ジョーダン、コービー・ブライアント、ステフィン・カリー、ジェイレン・ブランソンのように、強い情熱を持ち、大切な場面で責任を引き受ける選手にひかれます。

テニスでは、力強いラリーを展開するアンドレ・アガシの時代から、サーブもラリーも優れたロジャー・フェデラーまで、選手それぞれの個性や美しいプレーに魅了されてきました。野球は、日本代表が一つになって戦うWBCを中心に観戦しています。

ゴルフではタイガー・ウッズからローリー・マキロイやミンウ・リーへと続く、世界トップ選手のシャローイングのフォームの美しさや技術と精神力に注目しています。

女子バレーボールや卓球、陸上競技も好きです。陸上では、日本のお家芸といわれてきたマラソンの功績、ヒシャム・エルゲルージなど海外のトラック選手が見せるラストスパート、室伏広治選手の力強い投てきにも興奮した記憶があります。

競技は違っても、限界に挑戦する姿勢や、ここ一番で発揮される集中力には共通するものがあります。アスリートが積み重ねてきた努力を想像すると、一つ一つのプレーがさらに深い感動を与えてくれます。

7.スポーツの感動を愛知・名古屋から

愛知・名古屋で開催されるアジア大会は、多様な国や地域から選手が集まり、日頃の努力の成果を競い合う大きな舞台です。世界レベルの競技を身近に感じられることは、地域の皆さまにも、子どもたちにも貴重な機会になります。

会場で声援を送ることはもちろん、テレビなどを通じた応援も選手を支える力になります。これまで知らなかった競技や、新しい目標となる選手に出会えるかもしれません。

スポーツが生み出す感動は、見る人に勇気を与え、自然な笑顔を生みます。家族や友人と応援する時間は会話を生み、地域や世代をつなぎます。観戦をきっかけに「自分も身体を動かしてみよう」と感じることも、健康への大切な第一歩です。

スポーツの感動を地域の皆さまと分かち合い、愛知・名古屋から元気と笑顔を広げていきましょう。名古屋のアジア大会を、みんなで応援しましょう。

8.まとめ

スポーツには、心身の健康と健康寿命を支えるだけでなく、自主性、協調性、責任感、思いやりを育てる力があります。

運動による筋力の向上と維持は、フレイルやロコモの予防につながります。歩く力やバランス能力を保つことは、将来の要介護リスクを抑え、自立した生活を長く続けるためにも重要です。

さらに、運動による血流の変化は血管内皮細胞に働きかけ、一酸化窒素(NO)の産生などを通じて、血管の機能を良好に保つことにもつながります。

そして運動は、エンドルフィンによる鎮痛、セロトニンが関わる気分の安定、ドーパミンが関わる意欲や達成感など、脳や心にもさまざまな良い影響を与えます。

つまり運動は、筋肉、骨、関節、血管、痛み、そして心の健康まで総合的に支える、まさに健康寿命の味方なのです。

そして、全力で挑戦する選手の姿は、見る人に感動と勇気を与え、笑顔を広げます。する人、見る人、支える人。それぞれの立場からスポーツを楽しみ、名古屋のアジア大会をみんなで盛り上げていきましょう。

当院も整形外科クリニックとして、地域の皆さまがいつまでも自分らしく身体を動かし、豊かな毎日を送れるよう応援しています。


当院へのアクセス案内

■ 東海市方面からお越しの方

  • 公共交通機関(コミュニティバス)が便利です

東海市循環バス「らんらんバス」にご乗車いただき、「伏見四丁目」バス停でお降りください。バス停からは徒歩約1〜2分とすぐ目の前ですので、歩行に不安がある方でも安心してご来院いただけます。

(※詳細な路線図については、こちらをご参照ください:東海市「らんらんバス」全体路線図PDF))

  • 電車・タクシーをご利用の方

名鉄河和線「高横須賀駅」よりタクシーで約6分です。駅から徒歩で向かうと関節に負担がかかる距離ですので、無理をせず駅からはタクシーをご利用ください。

■ 大府市方面からお越しの方

  • お車でのご来院(ご家族の送迎など)

知多半島道路「大府東海IC」から車でわずか約5分と、大府市内からのアクセスは非常にスムーズです。敷地内には29台分の広々とした駐車場があり、雨に濡れずにゆっくり乗り降りできる屋根付きスペースも完備しています。杖をご利用の方や、ご家族による送迎時も安心してお越しいただけます。

  • 公共交通機関・タクシーをご利用の方

大府市から電車でお越しの場合、JR線から名鉄線への乗り換えが発生し、駅構内での歩行距離が長くなってしまいます。痛みを我慢して電車を乗り継ぐことは症状の悪化につながる恐れがあるため、当院としては「JR大府駅」から直接タクシー(乗車時間:約15〜20分)をご利用いただくことをおすすめしております。お身体の負担を最小限に抑えるルートでお越しください。

東海市・知多市、大府市周辺でスポーツでの痛みにお悩みの方は、どうぞお気軽に当院へご相談ください。

この記事の著者・監修者

院長 整形外科専門医
 [加納 潤
JUN KANO

【読者の皆さまへ】 「地域の皆さまの身近な『かかりつけ医』として、お身体の痛みに根本から向き合います。このブログでは、日々の生活で実践できるセルフケアや、整形外科の正しい知識を分かりやすくお届けしています。」

  • 専門・得意な治療分野
    • 整形外科一般、膝・股関節疾患
  • 主な経歴
    • 2014年:岩手医科大学 卒業
    • 2014年〜:社会医療法人河北医療財団 河北総合病院
    • 2017年〜:社会福祉法人 仁生社 江戸川病院
    • 2021年〜:社会医療法人大雄会 総合大雄会病院
    • 2024年〜:かのう整形外科 開院
  • 資格・所属学会
    • 日本整形外科学会専門医
    • 日本整形外科学会認定 運動器リハビリテーション医
    • 日本整形外科学会認定 リウマチ医
    • 日本整形外科学会認定 スポーツ医
    • 日本内科学会認定 内科医

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